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REPORT-レポート
2/15 カルチャーセミナー〈甲斐の山々を 「見る」 「知る」 「愉しむ」 レポート〉案内人:富山繁樹氏
2月15日、登山ガイドの富山繁樹さん(南アルプスガイドクラブ所属)による講演会、〈甲斐の山々を「見る」「知る」「愉しむ」」が開催されました。当日、図書館に集った山好きの参加者は富山さんの登山ガイドならではの体験談に興味深そうに耳を傾けていました。講演会の様子を以下に紹介します。
まず、富山さんの自己紹介から始まり、登山ガイドの歴史や海外との比較、所属する南アルプスガイドクラブの紹介をされました。この中で、日本のガイドは任意資格で誰でも名乗れると聞き、参加者からは驚きの声が上がっていました。
つづいて、近代登山の話では、日本アルプスに初めて登ったウェストンをはじめ、皇族として日本登山の発展に貢献した秩父宮など、年表も使ってその歴史を丁寧に解説。ウェストンが南アルプスを訪れる際に、当地鰍沢を通ったことを聞くと、感心して頷く参加者の姿も見られました。
参加者との距離が少し縮まったところで、富山さんは山梨県民に馴染み深い名峰三座を豊富な写真とともに紹介。一座目の北岳は生息する花々が話の中心でした。北岳には、多くの固有種があり、代表的なキタダケソウについては、その生育環境や開花時期、アクセスへの提言など、登山ガイドならではの知見を披露してくださいました。
続く甲斐駒ヶ岳は、富山さんが南アルプスで最も思い入れの深い山のようで、様々な角度から撮影した甲斐駒ヶ岳の表情を紹介しながら、高い熱量で話されました。日本各地に点在する「駒ヶ岳」と名の付く山のことを、登山ツアーでのエピソードを交えながら話す姿に、参加者も食い入るように聞いていました。古くから続いてきた信仰登山の痕跡が多く残る山道の写真を見せ、現在でも行われている横手駒ケ岳神社(北杜市)の宮司による登拝登山を紹介してくださいました。
三座目に挙げた金峰山では、登山口のひとつである廻目平(長野県川上村)のロッククライミングからアウトドアの話に寄り道して、当町出身で日本にアウトドア・カルチャーを持ち込んだ芦沢一洋氏について思いを語ってくださいました。芦沢氏の著書の一節を読み上げて、芦沢氏の故郷鰍沢への情緒を参加者と分かち合っていました。また、金峰山への参拝道を復活させようというクラウドファンディングについても触れ、信仰登山に使われた古道を文化として残そうとする活動があることも紹介されました。
ここからは櫛形山と南アルプスフロントトレイルについて、実際に現地で撮影した写真を多く使いながらその現状を教えてくださいました。櫛形山は当町の山ということもあって特に高い関心を集めており、今回の講演会で最も反響の大きいテーマでした。ボランティア団体による防鹿柵設置により最近復活してきた豊富な花々を紹介すると、参加者からは感嘆の声とともに見入る様子が見られました。また櫛形山の三つの三角点が持つそれぞれの魅力を、三角点の解説とともに伝えてくださいました。
南アルプスフロントトレイルについては、プロジェクト立ち上げのきっかけから完成までの過程をルート上の写真を多く見せながら話してくださり、当初から関わっていたからこそわかる苦労や課題を語っていました。また、ルートがかつて早川地域と当町を繋いだ交易路に重なること聞いて、メモを取る参加者も見られました。
最後に、“山に登る理由”について、当館所蔵の本から言語化のヒントを提示してくださいました。
ロバート・マクファーレン著『クライミング・マインド』181ページより抜粋。
「山登り以上にシンプルな「成功」の寓意が他にあるだろうか?山頂は目に見えるゴールでありそこに至る坂道は挑戦だ。歩いてあるいはクライミングによって山を登るとき私たちはただ実際の山の斜面を進むだけでなく、苦労と達成という隠喩の大地をも歩んでいる。」
講演会終了後は、富山さんから紹介された本に目を通す方や、富山さんと登山談義を始める方、所属する山愛好団体のメンバー同士で櫛形山の話題に花を咲かせる方々など楽しい時間を過ごす参加者が見られました。
参加者からのアンケートでは、地域住民が山というテーマに強い関心があることがわかり、来年度以降も同様のテーマでの開催を望む声を多くいただきました。当館では、今後も様々なアプローチで山の魅力を発信していけたらと考えています。


